前の記事 『歌詞は共感が8割』に対して、
では残りの2割は何なのか?
それは作詞家の「個性(オリジナリティ)」です。
ここでまた少し、不安に感じてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この「個性(オリジナリティ)」という言葉に抵抗がある人も多いと思います。
なぜなら日本人である私達にとって、
自己をアピールするという事自体が、実は非常に難しいことなのです。
しかし、歌詞を作る上で必要なオリジナリティは、
皆さんがイメージしているような「奇抜」で「突飛」なものではありません。
むしろ、その真逆のものだったりします。
個性(オリジナリティ)ある言葉はそこかしこに溢れている
作詞における「オリジナリティ」とは、1つの物事に対してどう思うのか?
そして何をするのか?という部分です。
この世にある名曲を聞き返してみてください。
それらは恋愛だったり、仕事だったり、家族・友情だったり、、、
とても日常的なシチュエーションが、その曲の舞台となっていませんか?
例えば、「失恋」をテーマに歌詞を書くとしましょう。
とある人は失恋した後、自分の部屋で一人、涙を流すかもしれません。
またある人は、一人でいる事こそが辛く、友だちを誘ってドンチャン騒ぎをするかもしれません。
またある人は、失恋しても諦めきれず、また会いたくて携帯を握りしめているかもしれません。
「失恋」というテーマひとつとってみても、
その時に起こす行動、気持ちの方向というのは人によって全く違います。
その
行動、気持ちの方向こそが作詞家のオリジナリティ
と言えます。
自分がその時思ったこと、行動したことなどを、どれだけ素直に「言葉」へと変換できるか。
それは前の記事 『歌詞は共感が8割』でもお伝えした「自分と向き合う」ことにもつながっていきます。
ポップスの落とし穴(歌詞として聞き飽きた言葉)
自分の思いを素直に「言葉」へと変換することが作詞家のオリジナリティになると書きました。
そこでどのような「言葉」を使うかが、とても重要になってきます。
ポップスの歌詞というものは、大衆に受けなければならないという宿命を背負っています。
なのであまり知られていない言葉や専門用語などを使うのはあまりオススメできません。
極端な例で言えば
【例】
君の誕生日に Logic Pro で 作った歌を firestrage を使って 光の速さで送るよ。
なんて言われても、何がなんだかよくわかりませんが
【例】
明日は君の誕生日 楽器がひけない僕だけど まだどこにもない音を届けるよ 誰よりも早く
という風に言えば、ある程度の人は何が言いたいか理解できますよね。
誰もが日常的に使い、よく知っている言葉こそが、作詞家のオリジナリティに必要なアイテムになります。
しかし私たちは今までにあまりにも多くのポップスを聴いてきてしまいました。
それによって「歌詞」として聞き飽きた言葉、という概念が無意識のうちに植え付けられてしまっています。
例えばこのような歌詞があるとします。
【例】
移りゆく季節の中で あの日の君が笑う 二人手を繋いで歩いた 桜舞い散る道
どの言葉も、歌詞として一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
もしこれが本当に起こったことだとして、素直に言葉に変換したのだ!と言われても
これではリスナーさんの耳を通り抜けていってしまいます。
残念ながらこれらの言葉は歌詞として「使い古されて」しまっているのです。
しかしこれならどうでしょう?
【例】
君が笑った時にのぞく 八重歯が好きだった 「桜の雨みたい」 って君ははしゃいでたね
こちらもかなり極端な例えではありますが、
少なくとも前者よりは恋人たちをよりリアルにイメージできます。
使い古された言葉を避け、その変わりにどのような「言葉」を使うのか。
そこに作詞家の「オリジナリティ」へのヒントが隠されています。
次の記事 『自分だけの歌詞を書く方法』ではその「オリジナリティ」ある歌詞を書くための、具体的な方法をお教えしましょう。
by 純乃 吟 ( PRODUCERS,INC )
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