サビの歌詞を最初に仕上げ、「一番伝えたい事」を書くことで
そこに至るまでのAメロ、Bメロでどのような歌詞を書いていけば良いかもおおまかに見えてくるはずです。
Aメロで心をつかむべし!
CMやドラマタイアップなどではサビからしか曲が流れない、という場合もありますが、
YouTubeやストリーミングなどで曲を聞く場合、一般的にはAメロが一番最初にリスナーの耳に入ることになります。
『良い歌詞は「語りすぎない」』でも少し述べましたが、
もしあなたが作詞した楽曲がリスナーの耳に届いたとしても、
もしAメロで興味が失せてしまえば、すぐに別の曲を再生してしまいます。
これはなにも作詞家だけの問題ではありません。
多くの作曲家は「イントロに最大のインパクトを!」と依頼されていますし、
CD離れの著しい現在のリスナーに、まずは楽曲を最後まで聞いてもらい、
さらには気に入ってもらわなければならないと言う、音楽業界全体の大きな課題でもあります。
ですので、サビほどではないとしても、Aメロの作詞をする際には大きな注意を払う必要があります。
Aメロを書く上での注意点
ポップスでは一般的に「Aメロ=状況説明」となる場合が多いです。
いわゆる「5W1H」の法則を活用し、歌詞の主人公となる人物がどのような状況にあるのかを書いていきます。
5W1Hの法則とは
・What(何を)
・When(いつ)
・Where(どこで)
・How(どうした)
ここで一番気をつけるべきなのは、
「状況説明」を意識しすぎた「説明がちな歌詞」になっていないかということ。
歌詞の中の主人公が置かれている状況を、リスナーに「分かりやすく」伝えなければいけないので
どうしても細かく説明しがちになってしまいます。
ここで役に立つのが 『オリジナリティのある歌詞とは』でお伝えした内容です。
いわゆるありがちなシチュエーションをAメロに持ってきたとしても、
部分的に「オリジナリティ」のある言葉を持ってくる
ことで、リスナーの耳を捕えることが出来るのです。
それは必ずしも奇をてらった言葉や、突拍子もない言葉ということではありません。
例えば主人公が見ている光景をAメロに書いていくとします。
Aメロ作詞一例
あなたの事を想いながら
ひとり月を眺めてる
冬の風は冷たくて
私の心を寂しくさせる…
これだけでは何となくありきたりで、つまらない歌詞です。
では少しオリジナリティを付けてみましょう
あなたの事を想いながら
ひとり月を眺めてる
「ずるいよ…」 冬の風
指の先が冷たい
突然の「しゃべり口調」を入れるだけでも耳に引っかかると想いませんか?
その上、主人公が相手に抱いている想いを知ることが出来、現状をよりスマートに伝えることが出来ます。
そしてなぜ「ずるい」のか、なぜ今一人なのか。
《例1》よりも《例2》の方がこの先の展開が気になるはずです。
このようにAメロでは、これから始まる曲の状況説明をしながらも、
リスナーさんに食いついてもらうための「一手間」を惜しまない
よう、しっかりと注意したいところです。
by 純乃 吟 ( PRODUCERS,INC )
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